建社の精神と企業理念1

共同体に息吹く上州気質


 小荒井製菓は群馬県の再北である、みなかみ町に居を構えています。お陰様を持ちまして、弊社は創業から65年目を数えるまでに至りました。これはひとえに皆様から賜ったご厚情によるものでございます。この場をお借りし、深く御礼申し上げる次第でございます。

群馬県

 みなかみ町は険峻苛烈な谷川連峰の膝下にあり、「首都圏の水瓶」である利根川の源流域にあります。



雄大な山々、青徹する清水の潺湲たる流れ、澄明な空気、清爽な光と風、若やかな若葉たちが、みなかみの四季の姿情を水彩画のように織り上げます。

四季に応じ利根川の水面(みなも)には、様々な詩情が揺蕩います。春には桜や新緑の若葉たちが、夏には清涼な涼気、きらめく光斑が、秋には紅葉に染まる楓の姿色が陰影画のような情趣を醸し出します。

 また多くの文人墨客にも親しまれ、主に北原白秋、与謝野晶子、太宰治らが当地をお訪いました。由来、歴史に名を残した大芸術家には、恵まれた自然環境のなかで育った人が多いようです。

谷川岳

例えばアイルランドは綺羅星のような芸術家を輩出しましたが、オスカー・ワイルドの機知縦横の機略や、繊細で精巧な文章は、アイルランドで生れ育ったことに起因しているのかもしれません。
ですから当地を訪れた文人墨客たちは、ここで五感に清新の気を取り入れ、感性を鋭く繊細に研ぎ澄ましたことでしょう。

 如上致しました通り、小荒井製菓は関東の一隅に「蟠踞」しております。

しかし一隅と申しましても群馬県でございますから、所謂、北関東圏に属しています。
きっと多くの方は群馬県をして、辺垂の地と思われるのではないでしょうか。
が、寧ろそれは論を持ちません。しかし東京以外の南関東の諸県は、いずれも東京の衛星圏に帰属しています。確言すれば、東京の植民地的色彩が濃厚である訳でございます。これを素地にしてある観点から思料してみましょう。

画像の説明

 皆様は南関東の都市群を眺めると、まず何を目にするでしょうか。多分それはマンションではないでしょうか。マンションは都市のあらゆる場所で密生しています。そして都市のあらゆる場所へ隙間なく転移し、そこで群生しています。また集合住宅も繁茂しています。或いは新興住宅地、郊外ニュータウンも然りです。一体これは何を語っているのでしょうか。つまり都市住民の実に過半数以上の人々が、地方から流入してきた人だということです。
しかしこれは何もマンション住民に限ったものではなく、高級住宅街に住まう人々も、もともとは地方出身族で、僅か一代か二代でなりあがった即席の東京人が多いように見受けられます。六本木~に住まうような人々は途轍もなく短いスパンで成り上がった新興ブルジョアですが、これらの人々については、もはや言わずもがなです。
つまり都市には既にまともな地域共同体がないということです。
地域共同体とはそこで生まれ育つ人々の、人間性、気質、思考様式、行動原理等を根本から支柱しているものです。ですからその人間の「根」になる訳です。しかし共同体が瓦解した都市住民には、自分の人間性を支えくれるような「根」がありません。都市住民の人間性には、所謂、砂上の楼閣、そして空中楼閣的なものが多分にあります。  
しかしある人はこう仰るかもしれません。
地域共同体が未だに機能している土地においては、皆がそこにコミットしている訳だから、個性も自由もないではないか。

画像の説明

では地域共同体が瓦解した場所に住まう人々には、優れた個性や自由があるのでしょうか。答えは否です。都市住民の人間性、価値観を根本から形づくっているものは、無機質で茫漠としたマスメディアが配信する情報です。テレビをつけると何やらニュースキャスターが、九官鳥のように鳴き、そして腹話術人形のように動いています。疑似教養番組に出演する御用学者や御用評論家たちが、極めて常識的な立居振舞と口調で、極めて非常識なことを熱弁しています。或いは容姿の綺麗な芸能人が、今どきのトレンドに纏わることを述べます。そしてそれは教養めいたものにも射程を有し、円滑にそこへと移行してゆきます。「イケメン」の芸能人が極自然に政治や社会に対する時事論を語ると、多くの人々は何の躊躇もせずにそれへと同調してしまいます。
つまり都市住民の人間性や気質はここから作られる訳です。マスメディアの情報というものは、一律的、全体的なものとして、日本全土を覆っています。ですからそこにコミットして人間性を形成・構築している人間は、どこ切っても同じ顔がでてくる金太郎飴のようなもので、非常に均質的・全体的・複製的な人間であるということです。
地域共同体にコミットして人間性を形成・構築している人々は、そこにしかない地域にコミットしている訳ですから、極めて個性的であり、また自由度も高いと申せます。しかし地域共同体もマスメディアの情報の爆撃によって被爆しますから、そこから強い影響を受けていることは否めません。しかしにマスメディアによって全一的に人間性を塑形されている都市住民よりも、遥かに軽症でありましょう。

画像の説明

 マス・イメージ、或いは古典的な都市社会論と言う観点から、東京及び自余の
衛星都市に生きる人々の生態を俯瞰致しますと、非常に単
純な像へと還元することができます、つまり前述のロジックを踏襲すれば、「根」のない彼らは、無機質性・複製性・他律性・画一性・被暗示性へと還元す
ることができます。詰まる所、都市空間においては
広告やCFが芸能人の口を借り、ワンフレーズポリテ
ィクスを執拗に囀り続けます。CFに出る芸能人が、
着せ替え人形や腹話術人形となって大衆を或特定の
思潮観念で洗脳しようと熱演しています。

時にポップに、時に真摯に、時に哀韻を伴った面持や語調で喋られるコピー文が、人々の心理へと極普通に何気なく侵入してゆきます。ファッションやモードが目まぐるしく動き、没主体、没思考の「大衆人」を、更に無機質化、根無し草化、複製化してゆきます。
そしてこれら均質的・画一的な人々に、快楽サブカルチャー、教養サブカルチャーを投与して愚民化し、これらの人々を大量にコピーする、そして盲目的、俗悪的な方向へと教唆扇動してゆきます。

画像の説明

 換言すれば食べ物、ファッション、レジャー、美容、そして(かなり古いですが)「冬の~」に象徴されるような映像文化等、つまりポップ・カルチャーといわれているものの、一番の被洗脳者は「根」を持たない東京及びその隣接圏に住まう下層階層の人々です。そして報道番組が流す低レヴェルの疑似教養の被洗脳者も、この近辺に住する下層階層の人々です。

選ばれたごく少数のエリートが膨大な無識の大衆を治定することをポピュリズム(衆愚政治)と申しますが、その犠牲者もこの圏域に住まう底辺階層の人々です。
かつての小泉首相に黄色い声を送っていたのは主に、この圏域に住まう底辺階層の女性たちです。皮肉にもこう言う方たちが一番「個性」、「個性」と獅子吼している人たちなのですが、残念なことに均質・他律・没個性等で組成される「コピー人間」へと見るも無残なまでに堕してゆきます。つまり都市圏と言うのは、人間の複製化・全体化・愚民化の先進地域である訳でございます。
 しかしそれにしても何故、私はこのようなことを、申し上げたのでしょうか。それは群馬県においては「コピー人間」「根無し草人間」と言うものが、比較的僅少だからに他なりません。つまり未だ地域共同体が命脈を保っているがゆえに、人々はその地域にしかない、多様な人間性を形成・構築できる訳です。しかし多くの方は当然このようなことを口にされるでしょう。

マスメディアによる情報操作、情報洗脳は、全国津々浦々にまで波及しているではないか。
確かにその通りです。無論、群馬県民とてマスメディアの情報被曝によって均一化・愚昧化しています。故に衆愚政治の俎上にある人間達たちです。
しかし前段で既述した通り、地域共同体が瓦解していない土地に住まう人々には、未だコミットする共同体や中間組織がある故に、容易にはマスメディアの情報的侵略によって、主体性が毀損されることはありません。人々が「根」を張る共同体が曲がりなりにも機能しているからです。人々はそこにコミットすることで、共同体に相伝されてきた価値規範を、自分のなかに涵養する訳です。

例えば分かり易い上州気質と言うものを申しますと、義理、人情、粋、剛健、反骨精神、気っ風の良さ、侠客気質、怒涛力、気迫のある啖呵等、これらのもので象徴することができます。
 これで私が「蟠踞」と如上した意味がお分かりいただけたと存じます。群馬県に暮らす人々には独立不羈の気風があるのでございます。他県へと越境する際も、かかる上州気質を同伴させ、これを行動原理の準則として設定します。
 

                  >>建社の精神と企業理念〜小荒井の来歴を読む

powered by Quick Homepage Maker 4.9
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional